このレッスンでできるようになること: 「AI」「機械学習」「LLM」といった言葉の関係を、自分の言葉でざっくり説明できる。そして、これから使う Claude が得意なこと・苦手なことを知り、「AIの答えは自分で確かめる」という姿勢の理由がわかる。 所要時間: 30〜40分 このレッスンは読むだけです。インストールはありません。最後に、通し成果物へ気づきを1行だけ書き足します。
再開する人へ: ①ターミナルを開く → ②
cd ~/fde-dojoで教材フォルダに移動(メモを書くときに使います) → ③前回の続きの見出しから読み始めてOKです。
前のレッスン03で、Git を入れてこの教材を手元に受け取りました。次のレッスンからは、いよいよ AI の仕事仲間「Claude Code」を動かしていきます。その前に、このレッスンと次のレッスン05は読むだけの回です。「そもそもAIって何だろう」「Claude って何者だろう」という地図を、先に頭に持っておきましょう。
用語は暗記しなくて大丈夫です。「だいたいこういう関係か」というイメージが持てれば十分です。
1. AI・機械学習・深層学習は「入れ子」になっている
まず、ニュースでよく聞く3つの言葉を整理します。AI・機械学習・深層学習は、別々のものではなく、大きい傘の中に小さい傘が入っている「入れ子」の関係です。
- AI(人工知能) … 人間がやる知的な作業を、コンピュータにやらせる技術の総称です。いちばん大きな傘です。
- 機械学習(きかいがくしゅう、ML) … AI の作り方の1つです。ルールを人が1つ1つ書く代わりに、大量のデータを見せて、パターンを自分で学ばせる方法です。
- 深層学習(しんそうがくしゅう、DL) … 機械学習の一種です。脳の神経回路をまねた「層の深い」仕組みで、大量のデータから学びます。
この後に出てくる LLM(次のセクションで説明します)は、深層学習を使った AI の一種です。つまり、いちばん内側のグループに入ります。「AI という大きな傘の中の、機械学習の中の、深層学習を使ったもの」というわけです。
2. AIは「ChatGPTみたいなもの」だけではない
「AI」と聞くと、文章で会話してくれるチャットを思い浮かべる人が多いかもしれません。でも実際は、AI にはもっといろいろな種類があります。あなたの身の回りでも、すでにたくさん働いています。
| AIの種類 | 身近な例 |
|---|---|
| 画像認識 | スマホの顔認証、レシートの文字読み取り |
| 音声認識 | スマートスピーカーへの声かけ、音声の文字起こし |
| レコメンド(おすすめ) | 通販サイトの「おすすめ商品」、動画の「次に見る」 |
| 生成(作り出す) | 文章・画像・音声を新しく作り出す |
| 運転支援 | 車の自動ブレーキや車線キープ |
| 迷惑メール判定 | 受信メールを自動で振り分ける |
このように、AI は用途ごとにいろいろな形があります。この教材でこれから使う Claude は、この中の「文章を生成する・対話する」のが得意な AI の一種です。その中身が、次に説明する LLM という仕組みです。
3. LLM(大規模言語モデル)とは
Claude のようなチャット形式の AI の中身は、**LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)**と呼ばれる仕組みです。
LLM の中身を一言でいうと、こうです。**大量の文章を読んで、「ここまでの文章に、次はどんな言葉が続きやすいか」を確率で予測する。**これを繰り返すよう訓練された仕組みです。次の言葉、また次の言葉、と予測を積み重ねることで、文章を組み立てていきます。
だから LLM には、はっきりした得意と苦手があります。ここは正直に知っておくことが、とても大事です。
得意なこと
- 文章を作る(下書き・言い換え・要約)
- 翻訳する
- 内容を分類・整理する
- 対話しながら考えを手伝う
苦手なこと(正直な弱点)
- 幻覚(ハルシネーション) … もっともらしいのに事実ではない内容を、自信ありげに作ってしまうことがあります。「次に続きやすい言葉」を確率で埋める仕組みなので、事実そのものを保証しているわけではないためです。近年かなり改善されていますが、ゼロにはなりません。
- 最新の情報に弱い … 訓練したデータの時点までしか知りません。それより後の出来事は、そのままでは知らないことがあります。
- 厳密な計算や論理は苦手なことがある … 一見スラスラ答えても、細かい数字や込み入った理屈を間違えることがあります。
だからこそ、この教材が大切にしているのは「AI の答えを、鵜呑みにせず自分で確かめる」という姿勢です。これは第1章の「疑う」習慣や、第0章の後半で出会う「エラーの相談役」の「答え合わせ」の考え方に、まっすぐつながります。
予測してみましょう
いま学んだ「苦手なこと」から考えてみてください。LLM に、17 × 23 のような計算問題をそのまま解かせると、どうなると思いますか。
- A: 電卓のように、必ず正確な数字を返す
- B: スラスラ答えるが、間違った数字を返すことがある
予測を決めたら、このあと理解ゲートの前で setup-notes.md に1行書きます。まずは A か B か、自分の考えを決めておいてください。
答え合わせ(A か B を決めてから開いてください)
正解は B です。LLM は「厳密な計算」が苦手なことがあります。見た目はスラスラ答えても、数字を取り違えることがあります。大事な計算は、電卓や表計算など確実な道具で確かめるのが安全です。「AI の答えは確かめる」。この一手間が、あなたを守ります。
4. LLMにはいろいろな種類がある(どれも活発に開発中)
LLM は Claude だけではありません。世界中の開発元が、それぞれのモデルを作っています。代表的なものを、中立に並べておきます(2026年時点の一般的な説明です)。
| ブランド | 開発元 | よく言われる特徴 |
|---|---|---|
| Claude | Anthropic | 安全性を重視した開発姿勢。コーディングやエージェント用途での評価が高いとされる |
| GPT | OpenAI | ChatGPT で広く普及。汎用アシスタントとして、周辺のサービスが豊富 |
| Gemini | 画像や音声も扱うマルチモーダルや、長い文章を一度に扱える点に強み | |
| オープンなモデル(Llama〔Meta〕・Mistral〔仏〕など) | 各社 | 中身(重み)が公開され、自分のマシンでも動かせる |
大事なのは、どれかが一方的に優れている・劣っているという話ではないということです。どれも活発に開発が続く優れたモデル群で、用途や相性で選ぶものです。バージョンや評価も、時期によってどんどん変わります。
この教材では、その中の1つである Claude を使います。「なぜ Claude を選ぶのか」は、次のレッスン05でていねいに説明します。
理解ゲート(セルフチェック)
このレッスンはまだ Claude Code を入れる前なので、自分で答え合わせをします。声に出して自分の言葉で答えてから、開いて確認してください(暗記の確認ではありません。イメージが持てていれば十分です)。
Q1. AI・機械学習・深層学習は、どんな関係?
例:「入れ子(大きい傘の中に小さい傘)。AI がいちばん大きく、その中に機械学習、さらにその中に深層学習がある。Claude が使う LLM は、深層学習を使った AI の一種で、いちばん内側のグループに入る」。
Q2. 「AI=チャットだけ」ではないことを、例を挙げて説明すると?
例:「AI には画像認識・音声認識・レコメンド・運転支援・迷惑メール判定など、いろいろな種類がある。Claude が使う LLM は、その中の『文章を生成する・対話する』が得意なタイプ」。
Q3. LLM の得意なことと、苦手なこと(弱点)を1つずつ挙げると?
例:「得意=文章づくり・要約・翻訳・対話。苦手=幻覚(もっともらしい嘘を自信ありげに言う)/最新情報に弱い/厳密な計算・論理を間違えることがある。だから答えは自分で確かめる」。
Q4. なぜ「AI の答えを鵜呑みにしない」ことが大事なの?
例:「LLM は『次に続きやすい言葉』を確率で予測する仕組みで、事実そのものを保証しているわけではない。だから幻覚や計算ミスが起こりうる。確かめる一手間が、間違いから自分を守る」。
通し成果物に1行残す
第0章のあいだ、各レッスンで気づきを1行ずつ書きためている setup-notes.md(レッスン02で作り、03で教材フォルダへ引き継いだファイル)に、このレッスンのメモを足します。ターミナルで、まず教材フォルダへ移動します。
cd ~/fde-dojo
エディタで開いて、1行書きます。
- macOS:
open -e workspace/ch0/setup-notes.md(「開けない」と出たら、先にtouch workspace/ch0/setup-notes.mdを実行してから開き直す) - Windows:
notepad workspace\ch0\setup-notes.md(「新規作成しますか?」と聞かれたら「はい」)
さきほどの予測(A か B か)が当たったか外れたかと、このレッスンで「へえ」と思ったことを、自分の言葉で1行書いて保存してください(例: 04: 計算問題はB(間違えることがある)。AIはチャットだけじゃないと知った)。このファイルは、レッスン08で Git に記録します。
まとめ
覚え込む必要はありません。次のイメージがなんとなく浮かべば十分です。
- AI ⊃ 機械学習 ⊃ 深層学習 の入れ子がイメージできた
- AI はチャットだけでなく、いろいろな種類があると説明できる
- LLM の得意(生成・要約・対話)と苦手(幻覚・最新に弱い・計算)を1つずつ言える
- 「AI の答えは自分で確かめる」理由が、自分の言葉で言える
-
workspace/ch0/setup-notes.mdに、このレッスンの気づきを1行書いた
今日はここで区切ってOKです。 続きは、いつでも「再開する人へ」の3ステップから戻ってこられます。
次は レッスン05 Claude と Claude Code を知る へ。数あるAIの中で、なぜこの教材が Claude を使うのか、そして「Claude Code」とは何なのかを見ていきます。
最終確認日: 2026-07-24